DeNAがキューバ屈指の大物内野手の獲得に乗り出していることが10日、分かった。

 ユリエスキ・グリエル内野手(29)で、2度の五輪、3度のWBCに出場するなど、キューバ代表の主軸として活躍した。DeNAはすでに渉外担当者がキューバ入りし、交渉は最終局面に入っている模様。キューバ政府は昨年9月、自国選手が海外でプレーすることを認め、すでにフレデリク・セペダ外野手(34)の巨人入りが決定している。

 DeNAが大物選手の獲得に乗り出した。渉外担当はすでにキューバ入りしており、交渉は大詰めの段階とみられる。グリエル側の関係者と複数回の下交渉を進めており、条件面の詰めが主となっている模様だ。DeNAは過剰なマネーゲームには応じない構えで予断は許さないが、順調に進めば、早々に契約合意に至る可能性はある。

 DeNAは、オフからキューバ選手の調査を行ってきた。昨年12月には池田球団社長が現地入りし、同国リーグを視察。幅広く情報を集めていた。そんな中、外国人野手はバルディリスを獲得したことで、主砲ブランコとの2本柱が完成。補強ポイントを先発投手に絞ってきた。だが、シーズンに入り、ブランコが左大腿(だいたい)二頭筋肉離れで離脱したこともあり、打線はもくろみ通りの結果が出ていない。チーム打率2割5分、143得点は、ともにリーグワースト。打線の軸となれる野手にも視野を広げ、あらためてキューバの大物選手をリストアップした。

 グリエルは「キューバ野球界最高の選手」という評もあり、キューバ代表歴のあるルルデス・グリエルを父に持つ野球一家のサラブレッド。自身も非凡な打撃センスで代表の中心を担い、アテネ五輪の金メダル、北京五輪の銀メダルに貢献し、国民からの人気も高い。また打撃だけでなく守備も魅力で、本職は二塁、三塁だが遊撃も守れる。29歳と若く、今季も好成績を残している。

 DeNAは、グリエルが国外リーグでのプレーに関心を持っているとの情報をつかみ、アプローチを続けてきた。今回、現地で交渉していることからも、両者ともに前向きに話し合いを続けているとみられる。

 59年のキューバ革命以降、キューバ選手が他国でプレーすることは禁止されてきた。だが、昨年9月、政府管轄のもと期限を設けるなどの形で、移籍が認められるようになった。同制度を利用して巨人入団が決まったセペダに、グリエルが続く形になれば、キューバ選手の移籍は活発化しそうだ。